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学会の設立趣旨です

趣意文

 本学会は、学際的な研究領域であるクィア・スタディーズに関心のある研究者に、相互交流と研究成果共有のための一つの場を提供することを、目的とする。クィア・スタディーズがかかわる文化的・社会的な取り組みは、広範で柔軟な連携を必要とするものである。この認識にもとづき本学会は、学術研究者にとどまらず多様な社会・文化活動に従事する人びとが広く知見の共有や意見の交換をおこなう場を提供する。

 クィア・スタディーズとは、性と身体、そして欲望のあり方にかかわる諸規範を問いなおそうとする、批判的/批評的な学術的探究の総体であり、以下に代表されるような試みの全てを含む。ジェンダーとセクシュアリティとをどちらか一方に還元することなく、しかもその両者が既存の性と身体、そして欲望のあり方にかかわる諸規範の下でいかに関連してきたのかを、分析すること。これらの諸規範が、社会において自然とみなされる身体やアイデンティティなどにかかわる認識の様態をいかに条件づけてきたのかを、考察すること。それらの規範的認識とそれによって維持される経済的・社会的・あるいは表象上の権力構造とが、人種・民族・宗教・国籍・地域・言語・経済階層・身体性などにおける諸差異といかに相互に作用しあってきたのかを、理論的また実証的に検討すること。そして、既存の規範に従わないようないかなる性と身体のあり方、いかなる欲望の形態が可能であり、あるいはより望ましいのかを、探究すること。

 クィア・スタディーズはまた、既存の「性の規範」から外れた多様なジェンダー表現や性的・文化的実践、および、この規範を問い直し続けてきたレズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダー運動やフェミニズムなどの多様で広範なアクティビズムや学問的探究の蓄積の上にうまれた学問領域である。その意味でクィア・スタディーズは、そもそも、既存の「性の規範」の下で法的・経済的・社会的・文化的な抑圧や不利益を被ってきた人びとの生の質を向上する目的をもった社会・文化的活動の一環であり、目的を同じくする他の諸活動との協働なくしては存在しえない。

 本学会は、クィア・スタディーズを構成するこのような異種混淆性と批判的/批評的視座とにかんがみ、異なる活動領域から提示されるさまざまな見解が対話を継続していくことが、クィア・スタディーズのより一層の展開には不可欠であると考える。したがって本学会は、参加者による対等で民主的な運営を通じてこのような対話の場を維持することで、日本におけるクィア・スタディーズの確立・発展に寄与しようとするものである。

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